この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片想いの行方
第46章 朝の7時と、夜の9時
……この人は……
どうして、私の心を分かってくれるの……?
なんにも知らないのに
どうして、私が今1番言って欲しかった言葉を、言ってくれるの………?
「つーか、お前なんか大荷物だな」
「…………っ」
「全速力でスーパーに寄って、ソッコー出てきたと思ったら
これ、なんで今もそのまま持ってんの」
食材の入ったビニール袋を見て、ヒメは呆れたように溜息をついた。
私は立ち尽くしたまま、半ば放心状態で口を開く。
「……ヒメ………
会社からここまで……追いかけてきてくれたの……?」
ヒメは荷物から私に目線を戻すと、ふっと笑った。
「昨日に引き続き、今日も置き去りにしやがって。
そのまま俺がノコノコ帰ると思ったら大間違いだ」
私の頭の上にぽんっと手を置いて、優しい声で続ける。
「お前は知らないだろうけど
俺、自分から女を追いかけたのは、人生で2度めだから」
「…………!」
「1度めは、高校2年の夏。
誰かさんが優勝した都大会。
……まさかその10年後に、また同じ女を追うとはな」