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片想いの行方
第47章 探り合い

* * *


金曜日の夜だけあって、通りは人で溢れている。

ヒメは人混みをスルスルと通り抜け、車道の前で止まると

手を挙げて1台のタクシーを止めた。


「早く乗れよ」

「ど、どこ行くの?」

「いいから」



……マンションの前で、待っててくれてたなんて知らなかった……

とはいえ、寒い中一緒に居てくれたんだから

今さら断るなんてことはできないよね……

私はヒメの後に続いて、後部座席に乗った。




行先を告げた通り、タクシーは港区の汐留方面へ向かっている。

会社から車で15分くらいの距離だけど、こっちの方には滅多に来ることはない。


「……綺麗だね……」


近付くにつれて増えていくイルミネーション。

窓の外に流れる光を見つめて、私は思わず呟いた。


都市整備されたこの辺りは高層ビルが立ち並び、レストランやショップも数多く揃っている。

一条さんの夜ごはんを作ったあとは、いつも真っ直ぐ帰っているから

平日の夜にどこかへ行くのは久しぶりで、ちょっとだけ心が明るくなる。


「……………」


ヒメは、タクシーの中では終始無言で

同じく窓の外を見つめていた。
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