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片想いの行方
第47章 探り合い
1棟の高層ビルの前で、タクシーは止まった。
ヒメの後に続いて降りて、顔をあげる。
下の階からオフィス・ホテルと続き、高層階にはレストランも入っている総合ビル。
駅から直結している施設だから、誰でも知ってる。
「………ここ?」
私が聞いた時には、ヒメは誰かに電話をかけながら、エレベーターに向かってスタスタと歩いていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ……!」
慌ててその後を追う。
高層階のレストランに行く人が多い中
ヒメはちょうど真ん中あたりの、20Fのボタンを押した。
(……その階は、ホテルじゃない……)
……って、当たり前でしょ。
ありえないから。
ヒメがボタンを押すまで気になっていた疑惑は、あっさりと消えた。
……でも、本当にどこ行くの……?
「…………」
エレベーターが20Fに着く。
この階は特にお店があるわけでは無く、隣りのビルにつながる連絡通路のようだ。
ガラス張りの通路の左右には、外に出れるウッドデッキがあって
ライトアップされたスペースにはベンチやテーブルが置いてあり、何人かが夜景を楽しんでいた。