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片想いの行方
第50章 真実
奈々さんの話では、一条という男は30代半ばで。
もともと大手商社の家系にいることで、その歳になってもいまだフラフラしていて、親の脛をかじるボンクラだそうだ。
この会社の社長と繋がりがあることで、コネ入社をしたそうだけど
ろくに仕事もせずに、色んな部署の女に声をかけていて、社内の人間からは相当煙たがられていたらしい。
「……性懲りもなく、うちのフロアにもよく来ててね。
中でも1番、美和ちゃんが目をつけられちゃって。
美和ちゃん、今は笑うことが少なくなっちゃったけど、入社した当時は元気いっぱいでいつもニコニコしてたのよ」
「…………」
「他の女の子達があからさまに嫌そうにする中、美和ちゃんは笑顔で丁寧に断ってたから
あの男が益々調子に乗ってさ。
あ、これ内緒ね。
大っ嫌いなんだけど、あんなんでも一応上の人間だからさ」
奈々さんが思い出すようにイライラして話すのを聞いてから、俺は口を開いた。
「……美和が笑わなくなった原因は
その一条って男にあるんです」