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片想いの行方
第51章 制裁

「………………!」


……言葉が出てこない。


ヒメは制止した私の手をゆっくりと外すと


勢いよくドアを開けて、リビングの中へ入った。


「おじゃましまーす」


ヒメの声に、一条さんがものすごい勢いで振り返る。


「………あんたが、一条?」


ヒメは何の躊躇いもなく、一条さんの座っているソファへ近付いていく。


「……あーあ。
想像してたよりも大分ひでぇな。
その歳でハゲって、かっわいそー」

「~~~~!!」

「……なっ……!!」


一条さんは衝撃でしばらく固まっていたけど

ヒメの後ろに私の姿を見つけると、体を震わせながら睨みつけてきた。


「……美和……
一体どういう事だ……!?」

「あ、今から美和には一切声かけないでね」

「………!」

「あんたの話し相手には、俺がなってあげるから」


ヒメは私を一条さんから隠すようにして、彼の前に立ちはだかる。

私は全身の力が抜けてしまい、床の上にペタっと座り込んでしまった。


「美和」


ヒメが前を見たまま私に話しかける。


「コートのポケットの中、ちゃんとONになってる?」
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