この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片想いの行方
第52章 再起不能
その項垂れた姿は、私が今まで見てきた一条さんとはまるで別人だった。
「こんなに俺を追い詰めて。
……目的は金か。
お前ら全員、俺を脅して金を強請ろうとするってわけだな」
一条さんが話している途中で、麗子さんと優香さんが私の方にゆっくり近付いてきて
2人同時に、私に手を差し伸べた。
「……お前は最後の最後までアホなんだな」
ヒメは静かにそう言うと
今日1番の低い声で続けた。
「………美和を解放しろ」
2人に支えられて立ち上がる。
涙腺が崩壊して、はっきりと見えない中でも
その声は、確実に私の耳に届いた。
「俺は一生お前を許さないが
これ以上関わる気も無い。
その代わり、二度と俺達の前にその汚い姿を見せるな。
………もう二度と
美和に近付くな」