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片想いの行方
第55章 変わらない2人
「だって、今の気分はビールに焼き鳥なの」
「お前の気分関係ねーだろ」
「何本でも頼んでいいよ」
「……あの救出劇が串焼きと同等かよ……」
そんな訳ない。
これからも恩返しを続けさせてほしい。
平日の夜にこうして肩を並べて誰かと歩けることが、何よりも嬉しいから。
……でも、それを言えない私。
やっぱり、ヒメの前だと素直になれないな……
「……まぁ、美和が行きたい所なら、俺はどこでもいいよ」
「…………!」
ヒメがふいに言った言葉に、トクンと胸が高鳴る。
………また、あの頃と同じ気持ちになるなんて……
もう2度と揺れることは無いと思っていたのに
ヒメと歩きながらも、まだ微かに残るもう1人のヒーローの香りが
私の胸を締め付けていた。