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片想いの行方
第60章 裏HERO

「………えっ!?」


私の言葉に、奈々さんは驚いて目を丸くする。


「何言ってんの、美和ちゃん!
あいつへの制裁は、ヒメくんによって劇的に終わったじゃない。
今さらもう……」

「……そのヒメに
もうひとつ、言われてたことがあるんです」


私は奈々さんの手をゆっくりと外して、微笑んだ。

……大丈夫。


「何かあったらすぐ電話します。
……私には、みんながいてくれるから。
もう怖くありません」


私はそう言うと、下のフロアに向かって歩き出した。

総務に着くと、既に一条さんは出ていった後で

慌ててエレベーターに乗って、1番下のエントランスへ向かう。


「…………っ」


心臓は激しく鳴りっぱなしだ。

本当は怖い。

あの顔をもう一度見ると思うと、すぐにでも引き返したくなる。


………だけど

あの日、一条さんのマンションから近い、公園の帰り道。

ヒメが言ってくれた言葉を信じて………


エレベーターが開き、まさに今ビルの外に出ようとしていた、彼の後ろ姿を見つけると

私は大きく深呼吸をした。
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