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片想いの行方
第60章 裏HERO

声の聞こえた方に振り向くと


「…………!」


屋上の入口に立っていたヒメが、腕を組んで私を見ていた。

どこかと商談でもあったのか、珍しくスーツを着ている。


「……ヒメ……!」


私は一目散に彼の元に駆け寄った。


「あのね、今一条さんが来たの!
それでね……っ」


クリスマスの事も、コートのお礼を言うのも忘れて

走りながら夢中で喋り出したから、喉を詰まらす。


「……それで?」


ヒメは穏やかな声で聞き返してくる。

私は1人興奮状態で、ヒメの腕を掴んだ。


「……言ってやったの!
ヒメが前に用意しておいてくれた言葉。
途中から笑いそうになっちゃったんだけど、最後の決め台詞まで、私、ちゃんと言えたのよ」

「…………!」

「もう、最高!
ヒメにも見せたかったな~。一条さんのあの顔………」


………そこまで話した所で、ハッと我に返る。

ヒメの優しい笑顔を見て、私は静かに手を離した。

茶色くてクルッとした髪を、夕陽がキラキラと照らしている。


「……良かったな、美和」

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