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片想いの行方
第61章 真実の想い
立ち止まったまま、涙を拭うと
……ふと、街の喧騒に紛れて
どこからか、聞きなれた音楽が耳に入ってきた。
「あ~懐かしいね~この曲♪」
「しかもめっちゃ上手くない?」
私の隣りを歩くOL風の女性達が、会話をしながら通り過ぎていく。
「…………」
私はそのメロディーの聞こえる方向に、足を向けた。
………人だかりができたその先に
駅のコンコースから繋がる広場の前で、2人組みの男性が路上ライブを行っている。
見た目、30代前半くらいかな……
ギターのみのアコースティックバージョンで、美しいハーモニーを響かせていた。
「……この曲……」
思わず呟くと、近くのカップルが口を開く。
「この曲流行ったよな~
いつかの高校野球の入場ソングだったよな?」
「あ~~!そうだよねっ。
なんかバラードにされてるから気付かなかったし。
しかも、本人より上手いんじゃない?」
「…………!」
………思い出した。
この曲は、初めてジャズバーに連れて行ってくれたヒメが
私に歌ってくれた応援歌だ。