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片想いの行方
第9章 星空の下で
“ 田中 ” というのは、アンナの名字だ。

あたしはぐるぐると頭の中で状況を整理し始める。


「あの、その事……誰に?」

「あぁ、ヒメだよ」


蓮くんは続ける。


「ちょうど俺のグループの近くにあいつらが来て。
ヒメが言ってたんだ。
香月が田中とケンカして、田中の友達の輪に入れずに1人でいるって」

「………!」


な、なるほど……!

アンナを使って、あたしが1人ぼっちになっている設定ってことだよね?

これから考えるとか言って、よく思いついたなぁ……


「ご…ごめんなさい、ご心配いただきまして……」


ドキドキする心臓を必死に落ち着かせて、なるべく冷静を装ってみる。


「それで、ヒメに言われてわざわざ来てくれたんですね。
も、もう、本人は来ないで人に言いつけるなんて、まったくも~~……」


……ごめん、ヒメ。悪者扱い。

と、心の中で謝ると


「いや、ヒメは俺に見に行けとは言ってねーよ」

「……えっ?」

「ヒメがでかい声で話してるのを、俺が隣りで聞いてただけ。
あんな奥の方まで行って、1人でイジけててアホだよな~って言ってたからさ」

「………!」

「俺が勝手に気になって来てみた。
そしたら、本当に香月がここにいた」


蓮くんが……ふっと笑った。


「こんな人の少ない場所に1人でいたら危ねーだろ。
俺と一緒に見ようぜ」
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