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片想いの行方
第63章 2人の蓮
.。.:* side ヒメ *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*
「良かったわよ、姫宮くん。
“ 失恋 ” して、切なさを極めた感じ」
「“ フラれた辛さ ” がその歌声に滲み出てんのね~。
ほら、下のお客さんみんな感動して泣いてるわ~」
「………………」
………年内残り1日を残した土曜の夜
今年最後のステージを終えると
共通の言葉を強調した、魔王と悪魔が俺に話しかけてきた。
「……やっぱりダメだったのか、ヒメ」
螺旋階段を再び降りようとすると、下からヤスが上がってくる。
「学生時代から、向かうところ敵無しだったお前でも
たった1人の女が手に入らないってことがあるんだな」
「………………」
3人は、同じ憐れみの目で俺を見つめてきた。
……腹立つな。
つーか口元が笑ってんだよ。
ほんとこいつらって最低。
「……独身女の不穏な呪いを受けたせいだ。
一生恨んでやる」
冷たく言い捨てて、階段を降りる。
やけに疲れたから、歌い終わった時点で真っ直ぐ帰ると決めていた。