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片想いの行方
第10章 協力する理由
「……痛って……」


ヒメは右頬を押さえて、あたしをジロッと睨む。

だけど、怒りが爆発しそうでちっとも怖くない。


「……酷いよ、ヒメ」


あとからあとから、涙が零れ落ちる。


「蓮くんに彼女がいるって知ってたなんて……
……嘘つき…!」


1人で浮かれて、バカみたい。

新しい服を着て、蓮くんと番号交換が出来ても

何にも意味が無いじゃない。


「……俺は
蓮に彼女がいないなんて、一言も言ってないけど?」

「………!!」


頭にカッと血が昇る。

どうして……?

酷すぎるよ……!


「……彼女がいるのに、告白なんてできるわけないでしょ!
始めから言ってくれてたら、こんな惨めな想いしなかった!」

「…………」

「ヒメのバカ!」


もう一度振りかざしたあたしの手を

ヒメは直前で掴んだ。


「………そんなもん?」

「………!?」


掴まれた手首に、さらに力を入れてくる。


「頑張るって言ったよな?
お前の本気ってその程度かよ?」


手から伝わる熱と、真っ直ぐ向けられた鋭い視線。

その迫力に捕らわれて、体が動かなくなる。


「本気で蓮を好きなら、奪ってでも手に入れろよ。
彼女がいるなんて、関係ない」

「…………!」

「蓮の彼女の事なら心配するな。
俺が何とかするから」
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