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異常性愛
第29章 相克
私は今 優子と不倫しています。
優子を本気で愛してしまう前に
私は一度、優子と別れようとした。
失うことが怖かったからです。
優子に捨てられることが怖かった。
でもその怖さを
耐えなければならないほどの
借りが彼女にありました。
優子がいなければ
私は母と逢えていなかった。
彼女は私の恩人です。
優子を失う怖さを覚悟して、
私は優子と付き合っています。
優子もそう覚悟しています。
でも私は子を宿した妻を失えない。
妻を失うことを前提としていません。
何があっても絶対に失えないんです。
なぜなら、私と妻の絆は
もう私達だけのものじゃない。
私は自分の家族の中から
私と同じような人間を
絶対に生み出したくないんです。
そのためになら私は命を賭けます。』
―― 絶対に譲らない。
懐妊を知らされたとき、私の背筋に添えられたものはそれだった。
海鳴神社の手前で、晶子は私のために命を賭けると言ってくれた。
授かった子と晶子のためになら、私もそうする。