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異常性愛
第29章 相克
亭主はふぅっと大きく息を吐き、持っていた書類をそっと机の上に置いた。
足を組みなおした亭主は、伏し目がちにフッと笑った。
『だから・・。
私は涼子に逃げられたんだな。』
『そう・・・かもしれませんね。』
私は笑えなかった。
真正面から涼子を愛せなかった亭主の気持ちが痛いほど解る。
私もそうだった。
『はぁぁ、とんだ見込み違いだったよ。
キミを悪魔のような男だと思っていた。』
『いえ、見込み通りです。
結局は自分勝手に生きてることに、
変わりはありません。』
『面白いね。ほほほ。
やはりキミは、面白いよ。』
私達は互いに同じ印象を相手に持っていたようだった。
正面から本音をぶつけ合ったことで、私はほんの少し亭主を理解することができた。