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異常性愛
第31章 羽化
『最初に聞いたとき
辛い思いさせちゃったなって思ったの。
ディーのことだから、
あたしを悲しませるって
悩んだんだろうなって・・・。』
優子の優しさに、心が押し潰された。
¨優子のそばに居る¨という約束を反故にしてしまった私に、優子は怒りを覚えたはずだ。
七輪の煙の向こうに見た、大きく見開いた潤む瞳には、悲しみと怒りが映っていた。
だが、優子は私に突き落とされた直後から、私の心情や事情を汲み取り、私の苦しみを察してくれていた。
それに引替え、私は優子が悲しむということに怯え、うろたえていた。
私は優子を愛していると確信していたが、優子の私への愛情は、それとは比較にならないほど大きなものだったかもしれない。