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異常性愛
第31章 羽化
『ばか、違うよ。
俺が逢いたかったんだ。
自分で積み上げた負い目だよ。
お前のせいじゃない。
お前に誘われて嬉しかったんだ。
断る気なんて全然ないさ。』
『ほら、優しい。ふふ。
もっと悪い男だったら・・・。
だったら、
好きになってないか・・・。』
優子は時折強く吹く風に髪を押さえ、風下に顔を伏せた。
目を閉じて風がおさまるのを待つ、その姿がいじらしい。
優子を囲うように私が風上に立つと、優子は髪をかき上げ、私を見上げた。
『五日前ならキスよね・・・。』
切ない笑みを浮かべ、私を見つめる優子。
その瞳に吸い込まれそうになる。
私は目を逸らして頷くことしかできなかった。