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異常性愛
第31章 羽化
私に背を向けた優子はちょこちょこと動き、私を風除けにして上着の襟を立てた。
芳醇な優子の匂いが香る。
『あっち向いててあげる。
そんな悲しい顔しないで。』
『悪いね。』
自分の表情がどうなっているのかわからない。
優子が自分の顔を見せたくないのかもしれない。
コートの前を開け、後ろ向きの優子を懐に引き入れた。
少し窮屈だが、小柄な優子は私のコートの中に納まった。
『いいの?』
『いいよ。寒いだろ。』
『ありがと、あったかい。』
優子は暖かいと言っている。
これでいい。
私は明日から風除けにもなれない。
最後の夜。
今まで通りで別に構わない。