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異常性愛
第31章 羽化
『いいよ、言ってごらん。』
私が促すと、優子はたどたどしく言葉をこぼした。
『ねぇ・・・ディー、
山の別荘に・・・戻りたいよ。
ディーを見つけた・・・
コンビニに・・・戻りたいよぉ。
だって・・・、
だって別れたくないっ。
あたしは、あたしは・・・。』
懸命に言葉を繋いだ優子は、込上げる感情に言葉を飲み込まれた。
私の胸に顔を埋め、周囲に泣き声を漏らさぬよう、呼吸する度に全身を力ませて、呻くような泣き声を小さな身体に溜め込み、嗚咽し続けた。
鼻をすすり、ヒッヒッと息を吸い、悲しみの淵で声を出すことも許されず優子は泣いている。
その姿に、私は自分の愚かさを痛感した。