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異常性愛
第31章 羽化
優子は項垂れ、大きな溜息をついた。
『おかしいと思ったの。
迎えに来てくれて、
ご飯食べようなんて。
スケベなディーがなんでかなって。
ホントはゆうべ眠れなかったの。
あたし嫌われたかなって・・・。』
コートの中で向き直った優子は、涙で一杯になった大きな眼で私を見つめる。
『真美ちゃんちのお仕事するの、
縁を切る為だってディーが言った時、
次はあたしだって・・・思った。
すごく怖かった。
ヤダって・・・。
言わないでって・・・。』
私のジャケットを掴んだ優子の指先からギィと音がした。
堅く結んだ下唇を震わせ、瞬きの度に溜めた涙が頬に伝う。
高ぶる気持ちを溜飲させては頷き、泣き顔を懸命に微笑みで打ち消し、無様な別れにならぬよう言葉を堪え、耐え忍ぶ優子が居た堪れない。