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異常性愛
第31章 羽化
だからこそ優子を手離さなければならなかった。
優子との愛を、私に完成させることは出来ないからだ。
私は優子を守れない。
私が守らなければならないのは晶子と授かった子供。
私の命はひとつしかない。
最も愛するものと、命を賭して果たす使命が同じとは限らない。
あの日、コンジャンクトした優子との出逢い。
その意味がはっきり解った。
優子を愛したこと・・・。
それは罰だった。
愛を粗末に扱い、踏み躙ってきた私に下された罰だった。
全て辻褄があった。
それに気付いた時、
涙があふれ出た。
今 私が優子の前で泣くことは狡い。
奥歯を噛んで天井を見上げ、優子から顔を隠した。
ぼんやりと朱色に天井を滲ませる、エロティックな照明器具が涙で霞んだ。