この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第31章 羽化
モーテルを出て空港のタクシー乗り場に付近に車を停めた。
家まで送ると言ったが、優子はタクシーで帰ると言う。
私達の接点を今以上に増やさない、私への優子の優しさだった。
タクシー乗り場に客はなかった。
スーツケースを引く優子を見て運転手がドアを開けた。
タクシーに向かって歩き出した優子が立ち止まり、翻って私のところに戻ってきた。
『ねぇ、お願いあるの?』
『なんだ?』
『ケータイ、番号変えないで。』
『そう?そうか?』
『あたし電話もメールもしない。
我慢する。
ディーもそうして・・・。
でも、着信があったら出てほしい。
何も話さない。
あたしが黙ってても、
ディーは「もしもし」って言って。
・・・・ダメ?』
『返事は・・・するなよ。』
優子は私の意を汲み、胸に手を当てて深く頷いた。