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異常性愛
第31章 羽化
不倫に愛を持ち込んではいけない。
だが私はそのルールを破り、心底から優子を愛してしまった。
私が犯してきた罪は最愛の優子を失うという結果を招いた。
神仏の類は一切信じないが、もし神がいるとするならば、私の一番痛い所を突いたことになる。
優子への想いを抱えたまま、私は晶子の元へ帰る。
科された罰に苛まれる日々となるだろう。
愛の記憶が瓦解し、妻への懺悔が報われるその時が来るまで、私の人生に日が差すことはない。
愛を捨ててでも果たさなければならない使命がある。
全力で妻と子を守り抜き、最後には幸福感に包まれた晶子を看取ること。
それが私の命の価値であり、私の生きる意味だ。
ある精神科医の言葉を思い出した。
「過去と他人は変えられないが、
未来と自分は変えられる。」
今の私にとって頼りがいのある言葉だった。