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異常性愛
第5章 甘い罠
鉢合わせする危険を案じたが、涼子は周到な女だ。何か企てがあるのだろう。
文末の絵文字はそれを心配するなという私への暗示だ。
返信した。
《手土産は?》
遠まわしに前に言っていたアダルトグッズのことを尋ねた。
程なく返信が届く。
《小さめのをひとつ。》
涼子らしい勘のいい返信だった。
そしてすぐにもう一通受信した。
《会社にはウチで商談でいいよ。
何かオーダーするわ。》
気転の利いた立ちまわりだ。
《万事承知いたしました。では。》
ビジネスライクな返信でやり取りを終えた。
私の勤め先は壁紙やカーテンを取り扱う内装材のメーカーだ。
ハウスメーカーや工務店の依頼を受け、施主に自社商品を提案する。
ショールームでの接客応対より客宅で提案するケースが多い。
涼子はその顧客のひとりで、拘り志向のいいお客だった。
私の職場へのアリバイ作りの為に、何かオーダーするということだろう。
そこまで気をまわした涼子の配慮だった。