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異常性愛
第6章 慕情 ―affection―

10分が過ぎ、私は営業マンとしてインターホンを押した。

改めて玄関で涼子に会う。
気品溢れる美しい若奥様が、隙のない立ち姿で私を迎え入れた。

『遠いところごめんなさいね。お上がりになってくださいな。』

あまりの変貌振りに一瞬面食らったが、どうにか平静を装った。

『ど、どうも、お邪魔します。』

リビングへ通され、亭主が席に着くのを待った。
涼子は白のブラウスに芥子(からし)色のフレアスカートに着替えてきちんとメイクを仕上げ、さっきとは全く違う空気を漂わせる。

『あなたぁ、
 おいでになられたわぁ。』

二階から返事が聞こえ、亭主が階段を下りる音が聞こえた。
頭を掻きながら風呂上りの亭主がリビングに再度現れた。

私は丁寧に挨拶し深々と頭を垂れた。
目の前で頭を下げる私が、ついさっきまで自分の妻を姦通していたとは夢にも思わないだろう。




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