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異常性愛
第6章 慕情 ―affection―

通り一遍の挨拶を済ませ、テーブルに着いて世間話を始める。
世界情勢や国内の景気、タレントのゴシップに至るまで、他愛もない話題で時間が過ぎていく。
私はその間も亭主を観察していた。

小太りで眼鏡をかけ、短く切りそろえた髪にはウェーブがかかっている。
幼い頃から勉強好きで進学校に通い、猛勉強の末、医学部を卒業し今に至るのだろう。
50歳を過ぎて収入も私の三倍はあるはずだ。
私にあまり目を合わさず喋るのは、人嫌いではなく過去の人付き合いの少なさからだろうか。
さっきからよく爪を噛み膝をゆする。対人に自信がない表れだ。
相手を知ることもそうだが、自分を相手に理解させることも苦手そうだ。

性欲は強いそうだ。
涼子から聞いている。
二十歳近く離れた世間知らずの娘を嫁に貰うぐらいだ、相当の女好きだろう。
さっきもそうだが、拒んでもしつこく粘り、コトを終えるまで退かないらしい。
興味のあることには熱心に臨むが、それ以外は無頓着なのだろう。



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