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異常性愛
第6章 慕情 ―affection―
涼子は私の手にそっと手を添え、黙って私に抱かれてくれている。
広い玄関のひんやりとした空気の中で、懐かしさと切なさを私の心が嗅ぎ取った。
抱いた腕を少し緩めると、涼子はふぅっと大きく息を吐いて私の手をトントンと叩き、ギュッと握った。
『私は大丈夫・・・
あなたも大丈夫・・・きっとね。』
その言葉に、私は自分の意気地のなさを痛感した。
感傷的にこみ上げる気持ちを噛み殺し、私は『うん。』とだけ答えた。
『行きましょ。』
ドアを開けて涼子は微笑む。
少し強くなった昼前の日差しに、涼子は輝いていた。
第六章 -慕情 ―affection―- 完