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異常性愛
第6章 慕情 ―affection―
リビングの冊子類は片付けられ、涼子はテーブルを拭いていた。
着衣を整えた涼子は、身支度できた私に微笑む。
『もういかなきゃ、だね。
公園でしょ、送るわ。』
『歩けるよ、大丈夫。』
『いいの、送らせて。』
ソファの亭主はまだ眠っている。
私は涼子に甘えることにした。
靴を履き、立ち上がる私に涼子は鞄を手渡してくれた。
パンプスに踵を滑り入れ、クルマのキーを捜す涼子。
柔らかく揺れる髪を耳にかけ、晒した項(うなじ)。
血管を透かせた白い肌が、私の心を波立たせる。
涼子を抱きしめた。
不意をつかれた涼子は『ひゃっ』と小躍りした。
『じっとしてろ。』
黙って背後から涼子を抱き、体温を感じとっていた。
黄金色の幸福感がこみ上げるのと同時に、幼い頃に生き別れた母の印象と匂いが蘇った。