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異常性愛
第8章 掌
―――――― 十二年前。
『あきぃー、あきこぉー。・・・・おかあさんたちもう出るからぁ。』
準備が整った晶子の母は、二階にいる晶子に声をかけた。
『はぁーい。気をつけてぇ。』
午前の練習を終えて部活から帰ったばかりの晶子は、練習中に届いていた携帯メールに返信しながら母に答えた。
『雨ふったら、おせんたくおねがいよぉー。』
その日は朝から薄暗く、強めの風が吹いていた。
晶子は携帯電話を片手に自室から母に顔を見せる。
『こんな天気なのに干したの?』
『だってたくさんあるのよ、ゆうべシーツ洗っちゃったのよぉ。だから、ね、お願いよ。・・・・もぅ携帯ばっかし弄ってないのっ。』
『うーん、わかったぁ。おとうさんはぁ?』
『パパもいっしょよ。晩ごはんには帰るから・・・。』
車で待つ晶子の父が、母を急かすようにプップッとクラクションを鳴らした。