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異常性愛
第9章 正義の味方
――――ポーン・・・・。
ドアが開き、エレベーターに乗った。
乗り合わせた看護師が親切に声をかけてくれる。
『何階でしょう?』
『あぁ、八階、お願いします。』
『えっと・・・八階ですね。』
看護師はうつむき気味に八階のボタンを押した。
この病棟の八階は、まもなく人生の終焉を迎える末期ガン患者を押し込んだ階だ。
それを知る看護師は、私に気を使ったのか明るい表情をしまいこんだ。
チャイムが篭った音を響かせると、私を先に降ろした看護師はエレベーターの中から頭を垂れた。
ここは病棟の最上階だ。
『あれ、・・・いいんですか?』
私が聞くと、若い看護師はハッと顔を上げて微笑んだ。
『いえ、私は下なので。』
『あぁそうか。先に届けてくれたんですね。ありがとう。』
礼を言う私に、若い看護師は照れ笑いを隠すように口を結び直すと、小さく会釈してドアを閉めた。