この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第9章 正義の味方
駅近くのこの大学病院は、増設された新病棟と先端治療を売りにした巨大病院だ。
看護師の応接教育も当然のように行き届いていた。
死の瀬戸際で一刻を争う見舞客や親族にとって、あの若い看護師の応対は出来た配慮だと思えた。
それだけ死に近い患者が、この階には多いということだろう。
ナースセンターの中では、看護師たちが厳しい表情で仕事をこなしている。
てきぱきと迷いのない動作は見ていて気持ちがいい。
面会手続きを済ませ、病室に案内してもらった。
前を歩く看護師のうなじは、キッとまとめた髪の生え際に若々しい張りを見せてくれる。
艶かしい数本の後れ毛が、看護師だった頃の涼子を想起させた。