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異常性愛
第11章 アフロディーテの慟哭
涼子に背を向け、亭主に返事した。
『私が向かいます。奥様は行かせません。』
言葉遣いを誤った。
《なにっ!行かせませんだと?ほほっ!涼子の夫は私だぞっ!キミは間男じゃないか。》
『すみません、言葉が過ぎました。』
電話口で涼子の名を口走った亭主は、周囲の連中の手前、後に退けなくなっているようだった。
見かねた涼子は私から受話器を取り上げた。
『もしもし、涼子です。』
ハイ、ハイ、と慎ましく亭主に答える涼子。
『長谷川先生が?・・ハイ・・・そんな・・・。』
長谷川を知っているようだ。
『私には関係ありません・・・いいえ・・・。』
何か因縁をつけられているようだ。
涼子は毅然と対応している。
『わかりました。そういうことなら・・・少しお時間・・・違う、シャワーを浴びたいの・・・ハイ・・・ええ、三度・・・・ハイ・・・わかったわ。じゃ。』
受話器を置いた涼子は、壁に向かって大きな溜息をついた。