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異常性愛
第11章 アフロディーテの慟哭
『なんだって?』
私は答えを急かした。
涼子はバスローブのポケットに手を入れ、くるっと翻って上目に私を見る。
『行くわ、そうするしかない。』
『お前、大丈夫なのか?』
涼子は不安げに私を見つめ、呟いた。
『愛してる。』
私は状況がつかめない。
『私を愛してる?』
『ああ、そうだ。』
涼子はクスッと笑い、私を小突いた。
『元に戻ってるぅ。もう一度聞くわね、愛してる?』
若手歌手が観客に投げかけるような質問に私は目を丸めた。
『もう、鈍いわね。そういうとこ。うんっ!』
そう言って涼子は私の首にぶら下がるように抱きついた。
顔を近づけ涼子は言う。
『アッチで先生方のお相手しなきゃならないの。今はそうした方がいい。あなたは来ないで・・・。だから、愛してるのキッス。』
涼子は悲しげな顔で上目遣いに私を見つめる。
だが、その眼にはいつもと違う力強さがあった。
涼子にキスした。
しばらくの間、時が止まったような、
そんなキスだった。
第十一章 -アフロディーテの涙- 完