この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第14章 宿怨
¨聴覚障害者から見たダンサーは異常者にしか見えない。¨
亭主が私に語ったエピソードが胸に染みた。
聞こえない。だが音楽は存在する。
音楽の存在を理解できず、否定する聴覚障害者は、辻褄の合わない現実を多く見ることになるだろう。
私も同様に辻褄が合わなくなったのだ。
だが涼子への愛を認めた瞬間から、感情の整合性がとれた。
そして母への宿怨を自覚した。
----母を恨んでなどいない。
私はそう思い込むことで、母を忘れるように自分を仕向けていたのだ。
当時の幼い私が、母を失った現実と対峙すれば、瞬く間に壊れただろう。
だから幼い私は逃げたのだ。
必死で現実を振り払い、逃げたのだ。