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異常性愛
第14章 宿怨
今思えば、同様に私も涼子に恋をしていたのだろう。
だが女性をセックスの対象として扱う、私のくだらぬスタンスが恋心を歪に変形させ、愛情の品格を貶めた。
私にそのスタンスを取らせるのは、無意識にあった母への恨みだった。
無言で消えた母に対する宿怨を、心の何処かに持ち続けていた私は、無意識で女性に母を投影し、粗末に女性を扱うことでその恨みを晴らしていたのだ。
亭主は間接的にそれを私に気付かせた。
近親の愛に飢え続けた幼い頃の私。
愛の形、存在を知らずに育った私にとって、愛情表現ほど面倒で困難なものは無い。
愛情に対する無知と不器用さは、愛を乱暴に扱い、否定することで私自身を慰め、楽にした。
¨知らないものは存在しないのだ¨と。
愛情表現はおろか、愛そのものを否定し続けた。