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異常性愛
第14章 宿怨

携帯電話を握り締めた。
涼子に詫び、そして悔いた。
もう涙も出ない。涙を流すような資格は私には無い。

《母は強いのよ》

メールの最後の言葉が私の中で繰り返される。
涼子はすでに私を許していた。
その言葉には、私のつまらぬ感傷など、歯牙にもかけぬ強さがあった。



固く閉じた目を開けると、先ほどと何も変わらぬ風景が私を迎える。

亭主は言った、『力を恨むな、味方につけろ』と。

その意味が少し解ったような気がした。
力を恨んだ先に自分が居るということ、そして ひ弱な己を認めよ。と。
亭主は私にそう言いたかったのかも知れない。



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