この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第14章 宿怨
携帯電話を握り締めた。
涼子に詫び、そして悔いた。
もう涙も出ない。涙を流すような資格は私には無い。
《母は強いのよ》
メールの最後の言葉が私の中で繰り返される。
涼子はすでに私を許していた。
その言葉には、私のつまらぬ感傷など、歯牙にもかけぬ強さがあった。
固く閉じた目を開けると、先ほどと何も変わらぬ風景が私を迎える。
亭主は言った、『力を恨むな、味方につけろ』と。
その意味が少し解ったような気がした。
力を恨んだ先に自分が居るということ、そして ひ弱な己を認めよ。と。
亭主は私にそう言いたかったのかも知れない。