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異常性愛
第15章 コンジャンクション
人の心は論じ切れるものではない。
特に異性愛欲求というのはひとつにくくれない。
学者が大雑把なカテゴリーに分けただけで、そこには他の欲求が複雑に絡み合い、影響しあう。
服従、達成、競争、支配、攻撃、親和、承認・・・。
そのどれもが優子の心の中でひしめき合い、優子は心が整えられずにいる。
人を好きになると、全ての欲求が混沌とする。
その中にあるたった一つの真理を見つけるために、本来男女は愛し合うのだろう。
双方が同じ価値観を確認できれば、そこに幸福感が芽生える。
私はそれを涼子と確かめ合うことができた。
亭主は脳内物質の過分泌という医者らしい診たてをしたが、ドラッグの経験がある私から言わせれば、それは違う。
アッパードラッグはアドレナリンを大量放出させるが、昨夜の幸福感とは全く違った。