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異常性愛
第16章 萎凋


ジャアジャアと蝉がうるさく鳴いていた。

『ブーさん、タバコくれよ。』

家を飛び出した少年は友人と公園に屯(たむろ)していた。
近所のゴロツキが集まるこの公園が彼の一番の休息所だった。
ここにくれば誰か居る。
ここに集まる者の共通認識だった。

『またかよ、たまには自分で買え。』

ブーさんはタバコの箱を少年に投げた。
二人の少年は藤棚の下のベンチでタバコを咥え、暑苦しく気だるい時間を過ごしていた。

『また揉めた?』

『おう、くだらねぇこと言いやがって。クソ親父。』

『きょうはなんだ、金か?』

『母ちゃんだよ。ちっ、めんどくせぇ。』

『新しい母ちゃんか?』

『あんなの、カンケーねぇよ。あぁーくそっ。』

少年はベンチにゴロンと寝転び、頭上に枝垂れる藤の枝をぼーっと眺めた。

『たまに家で飯食えば、これだ・・。』

『ははは、飯あったのか、珍しいじゃん。』

『だろ?コロッケ食い損なった。あ~腹減った。』

『食ってからやりゃ良かったんじゃね?』

『俺も今、後悔してる。』







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