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異常性愛
第16章 萎凋
殴られた息子は中学校でも札付きの不良で、キレると見境なく暴れ回った。
大人三人がかりでも抑えられぬ暴れっぷりは、この少年の若さと不満を代弁していた。
少年の家庭は荒んでいた。
両親は彼が七歳のころ離婚したが、その後、一年も経たぬうちに父の元に若い女が顔を出すようになった。
程無くして女は少年の母親という立場になり、この家の正式な家族となった。
少年はこの若い継母とウマが合わなかった。
両親の再婚当時 十歳にもならぬ少年にとって、突然あらわれた見知らぬ若い女を、母と呼ぶには無理があった。
料理もろくに出来ず、母としての心構えも知らない若い後妻に出来ることは、父親の夜の相手ぐらいのものだった。
一夜にして娘から嫁になり、母親と言う立場になった継母は、少年の母親に取って代ることなど出来るはずがなかった。
梲(うだつ)の上がらぬ父親は職を転々とし、その度に挫折と希望を家族の前で語ったが、辛抱しない性格が仇となり、世間は父親に落伍者の道を歩ませていった。
当然、家計は成り立たず、夜の務めに出るようになった継母の収入と、祖母の年金がこの家の生命線となっていた。