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異常性愛
第19章 変わらないもの
『あの時ね、ママ 再婚のお話があったのよ。
相手も離婚した人でね。
パパと離婚して五年ぐらいだったかな。
そうしたら大輔とも本当に逢えなくなる。
それで最後にこっそり見に行ったの。
チームの監督さんに電話して
大輔は頑張ってますかって?
頑張ってるよ、内緒で見に来なさいって、
監督さん言ってくれてね。
決勝だから絶対見てやってくれ、
大輔ならやってくれるからって。
いい人ねぇ。あの監督さん。
あの試合で大輔の泣いてる姿見てるとね、
あなたに何もしてやれてないのに、
ママだけが幸せになっちゃいけないって気がして。
それで再婚、断った。
大輔が幸せになってくれるまで、
ママはここで
お婆ちゃんと一緒に居ようと決めたのよ。
今日逢えるなんて、ママ、うれしくて・・。』
母はまた泣き始めた。
再婚せず、一人でいることが私への償いだった。
母は人生をやり直す機会を自ら捨てた。
そして人知れず私に詫び続けていたのだ。