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異常性愛
第19章 変わらないもの
あなたずっと泣いてたでしょ。
みんな帰る準備してるのに、
用意もしないで、グランドの隅っこで。』
『そこまで見てたんだ。』
『そう、大輔のすぐ後ろにいたんだよ。ママ。』
『え、ほんと?』
母はゆっくり頷いた。
その試合は私も記憶していた。
あの時、そこに母がいたのだ。
『慰めてやりたかったけど、
ママも出て行くわけにいかないしね。
大輔も泣いてたけど、
その後ろでママも泣いてたの。
あの時ね、ママの人生で一番辛かった。
離婚して家を出るときよりも・・・。
目の前に大輔がいるのに、
ママは背中をさすってやる事もできなかった。
あんなに悔しがってるのにママは何にもできない。
ほんとに・・・辛かった・・・。』
『そうだったんだ・・・。』