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異常性愛
第20章 綾繋ぎ
漁火のライトで煌々と照らされた巨大なマグロが、日本刀を思わせるマグロ包丁でサクサクと切り分けられていく。
魚市場の一角は活気づいていた。
周囲の客は紙幣を片手に、食べ切れないほどの身の塊を我先に買い求め、今朝通り過ぎた時と全く違う様相で、魚市場は多くの客で賑わい繁盛していた。
『すごいね、あの量、食べれるのかな?』
『大家族なんだろ。』
『うわっ、眼が合った、コワっ!』
解体ショーで捌(さば)かれたマグロの頭が焼き場に運ばれ、よそ見をしていた晶子の前を通り過ぎた。
『目の裏が旨いらしいよ。』
『いやぁよ、ゲテモノじゃない。』
落とされた巨大な頭部は、場所が違えばホラー映画の小道具に使えそうなほど生々しくグロテスクだった。