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異常性愛
第20章 綾繋ぎ
仏間で母と水入らずで語らい、涙を枯らした後、祖母と晶子が拵(こしら)えた懐かしい料理で食卓を囲んだ。
母は晶子を労い、新しい娘ができたと晶子の肩を抱いて親しんだ。
幼い頃の私の話をする母は、終始優しい笑顔で食卓を盛り上げ、失われた年月を取り戻していくように、私と母は切れかけた絆を堅く結び直した。
帰り際に、摘み立ての野菜を箱一杯に持たせてくれた母は、私と晶子を小さな体で交互に抱きしめ、別れを惜しんだ。
今日からいつでも母や祖母と会える。
意地を張り続け逃げ回った自分が、今となっては哀れで愛おしい。
これから祖母や母の命が尽きるまで、いやその後も、私を愛してくれる肉親を慕うことができる。
私はかけがえのない物を一度失ったが、それは以前より大きな感慨を持って手元に戻った。
きっかけを与えてくれた晶子の愛情と、優子の優しさをありがたく思った。