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異常性愛
第20章 綾繋ぎ
そもそも母から生まれた私は、母の一部だ。
本来は成長と共に、母との肉体的分離化と精神的分離化が進んでいくが、精神的に未熟な時期に母と引き剥がされた私は、それぞれの分離化に失敗し、もともと母親への愛情が強かったため、母に対する愛着や執着が過度に働いた。
さらに不幸だったのは自分の境遇の不満を、本来は元凶である父に向けなければならないのだが、臆病な私は暴力的な父に怯え、支配された。
ひ弱な私はその矛先を、いなくなった母に向けた。
だが母への愛情が人一倍強かった私は、母に矛先を向けることに罪悪感を持ってしまう。
今度はその罪悪感に耐えられなくり、愛情の記憶を消去し、なかったことにした。
そうして私は、母を記憶の彼方を追いやった。