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異常性愛
第21章 ギブ・アンド・ギブ 前編
『おお、ごちそうじゃん!』
腹を空かせた遅め帰り道で、自宅近くに漂っていた食欲をそそる匂いは、我が家の換気扇から出ていたようだった。
『でしょぉ、がんばっちゃった。』
『どしたの?これ?豚じゃないね。』
『そぉよ。牛ステーキッ!どう?』
祝いの日でも何でもない。私の給料も変わっていない。
『うまそうだ、いただきまぁす。』
『どうぞ、めしあがれ。』
ネズミのキャラクターが星を撒くように、晶子は菜箸を振った。
私の帰宅にあわせて焼きあがった肉の塊は湯気をたて、肉汁がとろけ出ている。
スルッとナイフが入る柔らかい肉は、ステーキソース無しでも充分食える。
どういう風の吹き回しだろう。
普段ないことに少し勘ぐった。