この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第23章 原石と宝石
オフィス街に朝から雪が降った。
今年、初めての雪だった。
先週あたりから急に冷え込んで、週末には自宅近くでも霜が降りた。
私は自社ショールームでの接客担当を志願し、客の来店を待っていた。
平日の昼間に、オフィス街のショールームへ足を運ぶ客などいない。
ましてや、雪だ。客足は遠退く。
だが、私には退屈な平日のショールーム担当を志願する理由があった。
金が有り余った人種ほど、休日を忙しく過ごす。
実はこんな日には富裕層の来店が多く、大きな商談になることがあるのだ。
それが私の狙いだった。
昼食を先に済ませた女子社員が戻ってきた。
『すみません、お先でした。』
『ああ、お疲れさん。』
『大輔さん、これ。』
『おう、ありがとう。』
頼んでいたカップコーヒーを受取った。
湯気を立て、香気を漂わせている。