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第23章 原石と宝石

　　　
その役どころの重要度を量ることはできないが、私は真美の人生を賑やかす登場人物の一人ではある。
亭主が真美と再婚することになった涼子との離婚。
その一因は私にあると言える。
真美もそれを解っていて、今日ここへ来たはずだ。

涙を堪え、声を喉に留める真美に同情した。
雪の中、私の所へ来るまでの真美の気持ちを察すると、気丈に振舞わずにいられなかった彼女がいじらしい。
それゆえ真美の涙は私には辛いものだ。

『なぁ真美ちゃん、
　今度はサンプルとかカタログとか
　いっぱい持ってくよ。
　真美ちゃんの趣味をしっかり聞かせてもらって、
　僕がしっかりプランする。
　それで新しいお家を
　真美ちゃんだけの物にしよう。な。
　いくらでも手助けするよ。
　こう見えて割りとセンスいいんだよ。』

真美は親指を握りしめ、俯いたまま何度も頷いていた。