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異常性愛
第23章 原石と宝石
『大輔さん・・・ありがと・・。』
『元気出しなよ。』
『はい。』
真美は顔を上げて微笑んでくれたが、弱る真美に「元気出せ」などと言ってしまった自分の気遣いのなさに、悔悟(かいご)する気持ちがあった。
辛いのだから、好きなだけ泣かせてやった方がいい。
そして慰められ、理解を示されることを真美は望んでいただろう。
だからこそ真美はここへ来た。
だが、私にはそれを受け入れてやる器量がなかった。
子を欲しがる晶子、気持ちを控える優子、本気で愛した涼子への想い、私への懺悔を背負い続ける母、慌しい日常の仕事・・・。
今の私に、真美の感情を爆発させてやる余地はない。
『悪いな、真美ちゃん。
そんなことしか言えなくて。
申し訳ない・・・。』
『そんな・・・大輔さん。
謝らないで。
私こそ、ごめんなさい。』