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異常性愛
第25章 おまじない
『もし、割れたら、
次は真美ちゃんが
好きなの買えばいい。
自分で選んで、
自分で決めるんだ。
それが割れたら、次、
また買えばいいんだよ。』
潤んだ目で私を見つめる真美は、私がカップをプレゼントした意味を理解してくれたようだった。
『いいね?』
『はい・・・
よく・・・わかりました。』
真美は胸にカップを抱き、目を閉じて深く頷いた。
『大事に・・大事に、使います。
ほんとにありがとう・・・。』
『よし、じゃ、先生帰るまでに、
も少しプラン練ろうか。』
涙を堪(こら)えた真美は、かすれ声でハイと答えると、頑張って微笑んでくれた。
自分が泣くと私に嫌な思いをさせると悟ったのだろう。
泣き虫ほど、負けず嫌いでガッツがある。
化粧気のない素顔を綻ばせ、真美はカップの入った紙袋を抱きしめていた。
ヘッドライトを点け、私達はコンビニを出た。
遠くに見える山の向こうに陽が沈み、山の尾根だけを際立たせ、夜のとばりが冬の空に星を瞬かせた。
第二十五章 -おまじない- 完