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異常性愛
第27章 業
帰り際の真美の声が耳に残る。
高ぶらせた気持ちを抑えきれず駄々を捏ね、抱きしめろと言わんばかりに体を揺すった真美。
あれで良かったのだと、自分に言い聞かせるしかなかった。
許されることの無い事実を積み上げ、好きなように生きてきた私が、今更都合よく¨正しく生きる¨ことなどできる訳が無い。
だが、真っ直ぐ生きようと舵を切った、母や涼子が羨ましかった。
突として、涙がこぼれた。
感情の起伏もなく悲しくもないのに、こぼれた涙に自分でも驚いた。
正しく生きられない自分。
自分でも解り切った、どうしようもないこと。
つまらぬ感傷に浸るうち、身体が重くなりソファに押し付けられるような眠気に襲われた。
晶子の居ない家は寂しい。
そう感じながら、私はそのまま眠りに落ちた。
第二十七章 ―業― 完